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「俺があいつに最後に会いに行ったときだ。あいつ、自分も連れてけとか言いやがった」
土方の脳裏に、一人の青年の姿が浮かぶ。
邪魔だからと縛った髪のせいで露となった細い首。
折れるのではと錯覚を起こしそうになる手足。
痩せこけた頬。
渇いた咳。
浮かんだ姿はすぐに厭らしく笑い、バズーカを構え出した。
当たるまいと瞳を開けると、そこに彼はいない。
緑の色が広がるのみ。
「トシさん?」
「……中島、あいつ俺になんて言ったと思う?」
『死なねぇで下せぇ』
「そんでこう……刀を渡してきやがった」
マネをして見せる土方の横で、中島はただただ目を見開いた。
病とはこんなにも人を変えてしまうものなのか。
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