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「――ちゃん」
「えっ? な、なに?」
私の声に、少女は過剰なまでの反応を見せた。
それが少しだけ可笑しくて、私は小さく笑みを浮かべた。
その笑みは多分とても弱々しいものだっただろう。
だけど、それでも少女は優しく微笑み返してくれた。
凄く、嬉しかった。
今ならきっと伝えられる。むしろ、伝えるなら今しかない。
そう思った私は、精一杯の感謝の気持ちと、そして少女に対する親愛を込めて、その言葉を告げた。
「ありがとう。大好きだよ」
そして、私の意識は消失した。
同時に、この世界からも、私という存在は消えてしまった。
この思い出が一杯詰まった世界に、大きな傷痕を残して。
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