62人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
小林玲志(コバヤシレイジ)を理解する事はできない、と僕は思う。
もちろん、自分を含め誰かを100パーセント理解することなど出来ないだろう。
だが何かしらの哲学や強い想い、または行動理念などを持っている人に会い、話をした時、ほとんどの場合は頷ける瞬間がある。
しかし小林の場合はどうだろう。
彼は決して曲がりえない信念を持っていて、
そしてどうやらそれを大切にしているようだ。
それを批判するつもりはない。
しかし何度かそれを理解しようとしたが
そうする度に僕の頭の上に大量のクエッションマークが降ってきてそれ以上は何も考えられなくなる。
「おい、聞いてんのかよ」
と小林は僕に言った。
彼にはついていけない。
文字通りついていけないのだ。
彼の存在は僕にとっては衝撃的だった。
見た所、女子高生と言われても頷いてしまいかねない容姿を携えていながら(どうやら自分のそんな容姿はある程度気に入っているようだ)
強烈な毒舌と目を奪われるほどの身体能力を持っている彼は
世界的に人気のあるオンラインゲーム、
『ブルーノート』の獲得ブルーマネーのランキングで世界1位だ。
それは小林に聞いたのではなく、先日初めてブルーノートにログインした際にたまたまランキングを見たことと、彼の一連の行動などがきれいに一致したため気付くことができた。
「聞いてるよ」
と僕は言った。
「じゃあ早くしろよ」
と小林は言った。
最初のコメントを投稿しよう!