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小林は時間を大切にしている。
それも病的な程に。
たとえば小林の睡眠時間は毎日3時間で、週に一度だけ4時間半の睡眠をとる。
しかしそれは頭と身体の疲れを取るために必要な事だと自覚しているので週に24時間弱の睡眠時間を不必要なものだとは思っていないようだ。
食事は一日に一度。
食べない日もあるが、間食は何かをしながらとる事なら時々ある。
移動は常に無駄がなく、最短距離を8割ほどの能力で進む。
全力じゃないのは疲れきって休んだり、汗をかいて、それを拭ったりする事を防ぐためだそうだ。
それでも僕にはついていけない。
小林にはパルクール(アクロバットと体操とクライミングの要素を兼ね備えた欧州発のスポーツ)の実績があるようで、
かなりの高さの壁でも簡単によじ登るし、飛び降りる。
今では随分見慣れたものだが、初めて見た時は血の気が引くとともにその行動の何かが狂っていると感じた。
小林はより効率的に行動し、それを継続することをある種の使命のように感じている。
初めはそう思った。
しかし違う。
どうやら小林は時間を無駄に使う事を、
そう、恐れているようだ。
なぜだろう。わからない。
恐れてもしかたがないのに。
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