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「あーっ! 波流ちゃんおかえりーっ!」
廊下の向こうから走ってくるのは恵美(めぐみ)ママ。
私に突進するように抱きついてきた。
もう儀式のようなものだ。
「ただいま、恵美ママ」
「今日来るって分かってたら、お洋服買って待ってたのにぃ」
恵美ママは元々お金持ちのお嬢様だけど、底抜けに明るい人だ。
そして女の子に恵まれなかった恵美ママは、小さい頃から私を着せ替え人形にして楽しんでいた。
私もキライじゃないから、よく二人で買い物に行ったものだ。
因みに私が産まれる前は、ママが着せ替え人形だったらしい。
「そうだ、話聞いたわよ! 早速買い物にいきましょうよ!」
「話聞いたんですか?」
ママは驚いて恵美ママに聞く。
「うん、千波ちゃんから電話もらう前に惣ちゃんから電話があってね。もう大歓迎よー!」
「そうなんですか。じゃあ詳しい説明はいりませんね」
「うん、だから波流ちゃん連れて買い物行ってきていい? もうすぐ海外行っちゃうんだから、みちるちゃんとゆっくりつもる話でもしたらいいわ」
「そうだよママ。あたしも恵美ママと久しぶりに買い物したい!」
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