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「でも……いつも悪いです」
まぁそうなんだよね。
あたしにとっては恵美ママもママだけど、ママと恵美ママは嫁同士。
勿論お金の出所も違う訳で、遠慮するのが当たり前なんだけどね。
「今更何言ってんのよ! 私が買いたいんだから、ね? お願い」
恵美ママは可愛らしくウィンクをする。
「すいません、じゃあお願いします」
「よし! 今日は久々に買いまくるわよ~! そうと決まれば荷物持ちが必要ね、蓮! 蓮!」
恵美ママは廊下に向かって声の限りに叫ぶ。
すると意外にも蓮が近くの扉から出てきた。
ああ、あそこはトレーニングルームだ。
筋トレしてたのか。
「なんだよ、俺は忙しいんだぞ」
蓮は水泳部に所属していて、全国大会優勝経験もある。
クロールだったっけ?
「蓮! 久しぶり!」
「……波流」
黒いランニングシャツがびしょびしょだ。髪も。
「もぉ~、汗臭い男ね! 出掛けるわよ、シャワー浴びてらっしゃい!」
「ああ? どこ行くんだよ」
「買い物」
私と恵美ママは声を揃えてニッコリと微笑む。
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