3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
途中、父のお墓参りをした。
真新しい卒塔婆が、時々、風にカタカタと鳴っている。
亡くなってすぐに荼毘にふされた父は、お骨になってこの下にいる。
次に来られるのがいつになるかわからなかったので、
お線香が燃え尽きて終わるまで、お墓の前にしゃがんでいた。
髪にも、服にも線香の匂いがついて、それは、形にはならないけれど、私にまとわりついて離れなかった。
叔父が母を良く思っていないだろうというのは予想がついていた。
案の定、母が父を捨てたのが悪い、みたいな事を言われる。
自分がどれだけ大変だったかと説明される。
私ひとりを養うのがやっとだった母の収入で、
どうやったら、そんなことが出来るというのだろう。
言ってはなんだが、やっかいな人間がいなくなってくれた。という気持ちが叔父のその顔に現れていた。
もちろん責める気などない。
,
最初のコメントを投稿しよう!