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――それから、程なくして人は揃ったのだが…
「なんで…お前がいるんだよ、ガチャペン」
「うるさいわねぇ、ポニ夫。私が居ちゃ悪いっていうの?」
まさか、藍華・S・グランチェスタ――薔薇の女王――まで来るとは思わなかった飛炎。
飛炎自身、この光景を見たのは初めてではなく、ネオヴェネツィアで何度も見ている。
飛炎が新米の頃は、暁について来たため嫌でも見る光景だった。
何度も見ている光景なため、弟子である飛炎は…。
「…師匠」
「何だ、我が弟子」
「周り見てください、周り」
飛炎の言葉に耳を傾け、周りを見る暁と藍華。
そうして、騒がしいことに反応したのか、周りのお客さん達がこちらを見ている事に気付き、二人は羞恥のあまり俯いてしまった。
そして、周りからの視線がなくなってきた頃に飛炎が話をきりだした
「少し遅れてしまいましたが、本題に入りましょう」
「うん」
俯いている暁と藍華をよそに、飛炎と灯里で話を進めてしまっている。
そうして、飛炎は、灯里に聞きたいことを言う前に、自分が味わってきた不思議現象の事について話した。
「えぇー!?」
「な、何ですか?灯里さんにとっては何ら驚く要素が見当たらないんですが」
灯里の反応に対し、疑問符を浮かべている飛炎。
「え?だって、ケット・シーに会うっていうのは、他の人でも可能性はあったかもしれないけど…」
「けど?」
「ケット・シーの言葉を聞いた事がないから」
「…え?」
飛炎は、『そんな馬鹿な』という様な思考を繰り返してしまった。
しかし、飛炎に一つの推測が生まれた。
「灯里さんは、アリシア・フローレンスさんのお弟子さんなんですよね?」
「うん、そうだよ」
「アリシアさんに何か言われませんでしたか?自分が気付かなかったこととか…」
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