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ここは、我々の住む日本とは似て非なる国『ニホン』。
そこには、陰陽師と呼ばれる不思議な能力を持つ一族がいた。
この小説の主人公である彼もまた、その一族の一人だ。
「ただいまー」
彼、【沖田 惣一郎(オキタ ソウイチロウ)】は普通の学校に通う高校二年生である。
ルックスとしては、一般的に言えばモテる方なのだろう。男女共に友人も多く、いわゆるクラスの人気者というやつである。
「おかえりなさい、惣」
帰宅の声を聞き、惣一郎の祖母のウメが奥から現れた。
すでに還暦を迎えていながら、その歳に合わない顔立ちには孫の惣一郎でさえ驚くほどだった。
また、立ち居振る舞いからもその優しい気性が伺えた。
「なぁ、ばあちゃん聞いてくれよ。今日さ、学校で……」
惣一郎が靴を玄関の脇に移動させながらウメと話をしようとすると、家の裏の方からすさまじい勢いで誰かがこちらに向かってくる音がした。
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