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朝起きて、学校への身支度を済ませた惣一郎は暇つぶしに新聞に目を通していた。
すると、一つの気になる記事に目が止まった。
『多発する神隠し!!妖怪のしわざか!?』
それも一つではない。
よく見てみると、下の方にある小さい記事のほとんどが、妖怪の仕業と思われるものだった。
それらの記事によると、様々なところで神隠し、謎の傷害事故などが起きているようだ。
惣一郎は新聞を手に、裏庭の方へ走った。
そして、裏庭で盆栽の手入れをしていた源内の目の前で勢いよく新聞を開き、その記事を指さした。
「じいちゃん!これ……まさか、なんで!?」
余程驚いたのか大慌ての惣一郎に対し、源内は冷静に答えた。
「やはり気づいたか。実はな、昨夜から凡妖達(妖力の低く、そのため一般人には見えない妖怪)の妖力の増幅を少し感じたのだが……なに、まだ一般人が見えるまでに上がってはおらんよ」
「でも……!」
惣一郎の不安は未だに払拭されないようだった。
「案ずるな。各地の同業者達もすでに動いておるし、お前が心配する程の事ではない。ほれ、もう学校に行く時間じゃろ。早う行け」
源内が厳かに惣一郎を急かす。
「……いってきます」
記事に対する不安が拭えないまま、仏壇に手を合わせ、惣一郎は学校に向かった。
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