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惣一郎は記事の事が気になりつつも、教室に入った。教室でもやはり例の事件が話題になっていた。
「おい、惣一郎!あれ知ってるか?」
一人のクラスメイトが早速惣一郎に話しかけてきた。
「……神隠しだろ」
惣一郎がふて腐れた様子で答えた。
「そうそう!あれって本当に妖怪の仕業なのかね?」
そんな事には目もくれず、興味津々にそのクラスメイトが尋ねてきた。
今この二人の間にはどうも温度差があるようだ。
「さあな……どうだろ」
朝の事もあり、少し元気のない惣一郎は友人とそんな話をしてると、チャイムが鳴り、学校が始まった。
そして、やがて午前の部が終わり、昼休みに教室で一人弁当を食べていると、
突然、ずどんという地響きと共に激しく地面が揺れた。
外を見てみると、グラウンドに大きな足跡が付いていた。
他の生徒達は訳が分からずに、その足跡を見ながら、がやがやとざわめいている中、惣一郎だけには視えていた。
グラウンドに佇む大入道が。
(おかしい……奴らが昼間こんなに活動的なわけがない。しかもこれじゃ、俺たち陰陽師に見つけてくれと言ってるようなもんじゃないか……!)
その大入道は惣一郎を見ると、にやりと笑い、すっと消えていった。
学校も終わり、惣一郎は源内とウメに、今日学校であった事を話すために全速力で家に帰った。
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