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──街のはずれ
一人の陰陽師が、対峙する凡妖目掛けて札を投げつけた。
「冥道符撃!!」
額に札を貼られた妖怪が、札の爆発によって奇声をあげながら消滅していった。
「ハァ、ハァ……それにしても奴ら、今回はやけに数が多いですね、源さん」
「馬鹿もん、まだ雑魚しか来とらんのにそんなにバテててどうする!」
「へっ、さすが源さん。まだまだ昔の力は健在みたいだな」
少しバテている陰陽師に向かって、もう一人の陰陽師が言った。
「あぁ、全くだ……。脱帽に値するぜ」
疲れが見え始めた若い陰陽師達を尻目に、源内は次々と妖怪を倒していく。
そして、妖怪達が全滅しかけたその時、突然あの大入道がどこからともなく現れた。
「ふん、現れおったな。お前を倒せば、それで終わりじゃ!!」
源内と大入道はしばらく睨み合う。周りの陰陽師達も固唾を飲んで見守っていた。
そして、先に動いたのは源内だった。
素早く近づいてきた源内に対して、大入道は大きな拳を勢いよく振り下ろした。
「源さんっ!!」
二人の陰陽師が思わず叫ぶ。
拳の衝撃で辺りに砂煙が舞った。
しっかりと拳を避けた源内は、とっさにその砂煙に紛れて大入道の背後に回り込み、大入道に向けて五枚の札を投げつけた。
すると、その五枚の札がやがて五角形型に配置された。
すかさず源内が素早く印を結ぶと、その五枚の札が光り始める。
それはやがて、大入道の眼前に一つの魔法陣を作り出した。
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