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にゃあ
青白い世界を小さな黒い影が走っていく。
軽やかな足取りは重力の束縛も感じさせない。
やがてその影は一つの高い鉄塔へ上っていく。
冷たくなり始めた風が吹き抜けるてっぺんに辿り着くと、それは頭を垂れた。
次の瞬間
その目が柔らかな白い光を発したと同時に小さな影が姿を変え始めた。
ほんの数秒の後、蝶が孵化するような滑らかな変化を終え、そこに一つの人影があった。
影は一つ息を吸い、右手を宙に掲げた。その手には二本の棒のようなものが握られていた。
『start……―』
閃光が走る……―
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