雪の記憶

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外に出ると、この地域には珍しく雪が降っていた   (ホワイトクリスマスかぁ…コウにとっては理想のシチュエーションだな)   そんな事を心の中でつぶやき散歩に向かった   15分くらい歩いた頃か、PHSのバイブの感じがした   (誰だろう?母さんからかな)   そう思い、電話に出てみると   『もしもし!ケンジ!?』   この声で一気に目が開いた   『コウ!?どうしたの?告白は?』   『うまくいったよ!!ユキもすぐに返事くれた!本当に今まで話聞いてくれてありがとう』   『…。よかったじゃん、幸せになりな』   『おう!実はまだユキと一緒なんだ。真っ先に知らせたかったから』   『そか…ありがとう。じゃあ悪いから切るよ、またね』   そう言ってすぐに電話を切った   何がホワイトクリスマスだ…   ケンジの想いは完全に途切れた   雪は一向に積もる気配はなく地面に触れた瞬間に溶けていった
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