音の怪・後編

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「すみません。しかし、こういう事は黙っていてはいけないと思いまして…」 「お祓いは…出来るんですよね?」 「それは勿論です。不安を煽るような事を言いましたが、問題はありません」 「良かった…」 七基は呟いた。 やがて高齢の僧と、弟子であろう僧達がやって来た。 「では、始めましょう」 高齢の僧が全員に向かって、そう言った時だった。 カツン… と、音がした。 七基が固まる。 「どうしました?」 七基の異変に気付いた僧が問う。 カツン…カツン… 「お、音が…!」 七基が叫ぶ。 カツン…カツン… 僧達が音のする場所を見るが、どうやら建物の外のようだ。 カツン… 音が一瞬、止まる。 ゴォッ…!! 物凄い音がした後、建物が傾いた。 「み…皆、外へ!崩れるぞ!!」 慌てて外へ出ようとしたが、天井が落ちて建物が倒壊した。 「きゃああぁっ!!」 七基は外に放り出された。 七基は気付かなかったが、鏡を入れたポケットが淡く輝いて、建物の倒壊から七基を守る。 僧達は皆、重傷だった。 カツン…カツン… 音が七基に向かってくる。 「お嬢さん!逃げなさい!!」 僧が叫んだ。
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