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それは何処にでもあるような、些細な怖い噂が始まりだった。
「追い掛けてくる音?」
七基は初めて入った小さな喫茶店で、バニラアイスを食べながら、友人の言葉を繰り返した。
「なぁに?それ怪談?」
「本当にあった話なんだって。一人で道を歩いていると、後ろから物音がして、それがついて来るように聞こえるんだけど、振り返ると誰もいないんだよ。でね…」
「気の性かと歩き出すと、また音が聞こえる…とか何とか言うんでしょ?誰から聞いた話よ。それ」
「先輩が友達の友達に聞いたって」
「ベタねぇ」
七基は呆れた顔で呟いた。
「茉里って、こういう話信じないよねぇ。人生楽しい?」
友人が茶化す。
「それなりにねぇ」
七基が笑いながら答える。
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