七基の友人・幸せの少女

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その呟きを、友人達は聞き逃さなかった。 「何、茉里に好きな人が!?」 「誰、誰なの?何組の子?」 自分が失言した事に気づき、七基は慌てて首を振った。 「違うわよ!ただ、ちょっとお世話になったから、お礼くらいしなきゃなって…!」 「あら…。茉里ちゃん、その方にお世話になったの…?」 またも失言だった。 昼休みが終わるチャイムが鳴る。 「ああ、もう行かなきゃ!!」 七基は急いで弁当を片づけて、教室へ走った。 「待って、茉里!」 「白状しなさい!!」 少女達は楽しそうに、廊下を駆け抜けた。 午後の授業は二時間とも調理実習で、予告通りクッキー作りだった。 自分の分とは別に、もう一つラッピングする。 「こんなものかな」 中々の出来栄えで、我ながら上出来だ。 「あら、七基さん。彼氏にプレゼント?」 家庭科の先生が、優しく微笑んで言った。 「良いわね。きっと喜んでくれるわよ」 「せ、先生~」 七基は真っ赤になってうろたえた。
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