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放課後、友人達が七基に寄って来て、
「今から山部くんに、クッキーあげに行くんだけど…茉里も付き合ってくれない?」
「それは良いけど、大勢で行ったら困るんじゃない?」
「一人で渡すの無理だよねぇ」
「ね~」
友人達が言う。
グランドで部活をしていた山部は、友人達のクッキーを快く受け取った。
「あ、七基さん」
呼ばれて、七基は振り返る。
「七基さん…たまに花月堂に入ってくの見掛けるけど、よく行くの?」
花月堂は最近よく行くようになった、古本屋の名前だった。
「まぁ…それなりに」
七基は答える。
「え!茉里って彼処に入った事あるの?」
「凄いね。茉里」
友人が口を揃えて言う。
「な、何よ。そりゃ、あんまり面白そうな本は無いけど、普通の古本屋よ?店主の三坂さん良い人だし」
灯色くんが居るし…。
「茉里知らないの?彼処って幽霊が出るって噂があったんだよ」
「最近は聞かないけどね」
ああ、成程。
そう言われれば、三坂さんが先月まで物の怪がいたとか言っていた気がする。
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