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七基と三坂が話していると、客がやって来た。
「あれ。山部くん…」
「あ…七基さん、今日も来てたんだ?」
来たのはクラスメイトの山部だった。
「…お店の方ですか?」
山部が三坂に言った。
「そうじゃが、何かお探しかな?」
「いえ…実は、物の怪を退治した方を紹介してほしくて…」
山部が呟く。
「…ごめんなさい。私がうっかり」
七基は申し訳なさそうに言った。
「紹介するぐらいなら構わんが…どうかしたのかの?」
「その…自分の家には、古い倉があったんですが、その倉を壊す事になったんで、中にあったを物を処分したんです。残った物は、家の物置に置いてあるんですが…その日から、夜になると誰も居ないのに足音がしたり、声がしたりして気味が悪くて…」
「残りのも捨てたら良いんじゃない?」
七基が言う。
「何だか…呪われそうで」
「…ふむ。灯色、灯色や」
三坂は障子の向こうで、本を読んでいる灯色を呼んだ。
「はい?」
障子を開けて、灯色が出てきた。
「お前さんにお客じゃよ」
三坂が言った。
「え、じゃあ…」
山部が灯色を見て呟いた。
「何の話ですか?」
灯色がきょとんとする。
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