七基の友人・幸せの少女

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広い庭と二階建ての母屋。 平屋の離れまであり、ちょっとした旅館のようだった。 「どうぞ。入って」 「お邪魔しまーす」 家の中に入ると、人形がカタカタと動きだした。 「うわっ!?」 「落とさないで!」 驚いた山部が手を放してしまい、七基が慌ててキャッチする。 「あ、危なかったぁ!」 「ごめん…」 山部が謝る。 『久、史…』 人形から声がした。 「座敷童…?」 『気を…付けて…』 人形が警告した直後、天井から走るような足音がした。 「二階に誰かいるの?」 「いや…。この時間は…まだ誰も帰ってないはずだ」 ダッダッダッ… …ダッダッダッ 幾つもの足音が家の中に木霊した。 「私…音にトラウマがあるんだけど」 七基がうんざりして言った。 『気を付けて…気を付けて…』 人形はカタカタと震える。 「五月雨の楔!」 紙から鎖が現れる。 足音がピタリと止まった。 『邪魔モノガイル…』 天井から声がするも、何も見えない。 『彼奴ダ…』 『殺セ…殺セッ!!』 バンッと玄関が勢い良く開き、物凄い突風が吹いた。
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