七基の友人・幸せの少女

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その風に、灯色が吹き飛ばされた。 「灯色くん…!!」 灯色はそのまま壁に打ち付けられる。 「っ…!?」 苦痛に顔を歪ませる灯色。 「灯色くん!」 七基が駆け寄って叫んだ。 灯色は気を失っていた。 頭からポタポタと血が流れ落ちる。 「血…血が…!?灯色くん!!」 七基は動揺して、軽くパニックになった。 「七基さん!一旦、外に出よう!!」 山部が灯色を背負い、玄関へと走るが、目前で戸が閉まる。 「くそ!こっちだ、七基さん」 山部は台所にある勝手口を開けようとするが、ビクともしない。 何処からか、クスクスと笑い声がする。 台所の引き出しがガタガタと揺れ、一斉に開く。 「や、やだ!灯色くん!灯色くん!!」 灯色は目を閉じたまま、動かない。 開いた引き出しから、調理用具や、食器などが次々と出てきた。 「ヤバいぞ!伏せろ!!」 二人は頭を抱えて蹲る。
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