七基の友人・幸せの少女

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刃物が、一斉に飛んできた。 が、二人に当たることは無かった。 金属同士が打つかる音がして、全て手前の床に落ちる。 「灯色くん!」 鎖を持って、灯色が立っていた。 「此方へ!」 灯色が叫んだ。 二階に駆け上がり、奥の部屋に飛込むように入ると、襖を閉めた。 足音が追い掛けて来て、襖を激しく叩く。 「止めなさい、貴方達!この中は私の領域よ!入ることは許さない!!」 灯色が怒鳴る。 音がピタリと止んだ。 『オ前カ…何故、邪魔ヲスルンダ…』 『家守ノクセニ…』 『生意気ナ…』 「黙れっ…!!」 灯色が叫ぶ。 外が静まり、静寂。 「灯色くん…?」 振り返った灯色の目は、血を落としたような赤だった。 「灯色くんじゃ…ないのね?」 灯色の姿をしたそれは、正座をすると深々と頭を下げた。 「…私は白袴と申します。その人形に憑いていた座敷童にございます。本来、人にとり憑くような邪道はしないのですが、主の危機ゆえご勘弁を…」 スッと顔を上げると、立ち上がって箪笥から布と鋏を取り出した。 布を細長く切ると、灯色の頭の傷口に巻いて縛る。
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