七基の友人・幸せの少女

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「この方は良い力をお持ちですね…」 「え、分かるの?」 七基が尋ねる。 「はい。稀にみる才能です。先程のような奇襲には慣れてないようでしたが、此処にいるものなど、足下にも及びませんよ」 白袴が灯色の姿で微笑む。 そして久史に向き直し、 「久史さま。お部屋に参った事、どうかお許し下さいませ。私のようなものでも、寂しいと思うことがあるのです」 白袴が言った。 「先代様…貴方のお祖母さまには、とても大切にしていただきました。あの方のご恩に報いるため、貴方をお守りいたしたす。どうか、私をお見捨てにならないでください!」 スッと、灯色から少女が現れた。 白い袴姿の黒髪の可愛いらしい少女。 同時に灯色が目を覚ます。 白袴は七基に抱かれたままの人形を、山部に差し出した。 「…大切にする」 「ありがとう…ございます」 白袴が嬉しそうに笑ってから、スウッと消えていった。 途端に襖が激しく揺れ始めた。 「芦原の神!」 灯色が紙を翳す。 刀が現れて、灯色がそれを掴んだ。 「…邪気滅切!!」 灯色が襖を横に薙ぎ切る。
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