七基の友人・彼氏騒動

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灯色の傷の手当てをした山部の父親が、小さく一息ついた。 「もう心配ないだろう」 「ありがとうございます」 灯色が礼を言う。 「出血の割には、傷はそんなに大した事はない。まぁ、熱が出るかもしれないから、油断は禁物だけどな」 「良かったぁ」 七基が安心して言った。 「さて…それで?家の中でこんな怪我するなんて、お前達は何をしてたんだ?」 「…親父が信じるかどうか…」 山部が答えた。 「話してみなきゃ分からないだろう。…何でか知らんが、刀まで持ってる子が、家の中で怪我して倒れてる。…この状況を説明するべきだ」 山部は白袴の事や、怪奇現象の全てを、嘘偽り無く父親に話した。 「…そうか」 「…信じてくれるのか?」 あっさり納得した父親に、山部が言った。 「実はな。母さん…つまりお前のお祖母さんもな、祟りがどうとか、物の怪がどうとか、よく言う人だったんだ。俺は…そういう類のものは全然分からないんだが、分からないからって、母さんやお前が言ってる事を嘘だとは思わない」 「親父…」 「さぁ、もう遅い。ご家族も心配しているだろうし、明日も学校だろう。車で送って行こう」 そう言って、父親は車がある車庫に向かって行った。
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