七基の友人・彼氏騒動

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次の日…。 学校を終えて、またも七基は花月堂に来ていた。 「七基さん、いらっしゃい」 「あれ。珍しいね。灯色くんが外にいるなんて」 灯色が店の戸の前で、七基を待っていた。 「実は七基さんにお願いがあるんですよ」 「なぁに?」 「昨日の怪我のこと、三坂さんに言わないでください。あまり心配かけたくないんです」 「…うん。分かった!」 「ありがとうございます」 二人が店の中に入ると、三坂が転寝していた。 「…起こしちゃ駄目ですよ」 「うん」 二人でクスクス笑いながら、こっそりと座敷に上がった。 「そうだ。昨日のクッキー、美味しかったですよ」 「本当!?」 七基は思わず叫んでしまった。 三坂が目を覚まして、振り返った。 「ほほ、いつの間に。いらっしゃい。茉里ちゃん」 「あ…お邪魔してます。起こしちゃってごめんなさい…」 七基は苦笑いして言った。 「いやいや。お客さんが来たら、起きておかないけんからの」 「あはは。お客さんと言っても、何にも買わないで帰っちゃうんですけどね」 七基は笑った。
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