七基の友人・彼氏騒動

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「ところで、茉里ちゃん。カラオケは好きかの?」 「え、うん。好きかな」 「そうか。実はの、商店街の福引で、駅前にあるカラオケ屋の無料券が当たったんじゃよ。儂みたいな爺が持ってても価値のないものじゃけ、茉里ちゃんが使ってもらえんだろうか」 「え、良いんですか?嬉しい!ありがとうございます」 受け取った券には、五人まで無料と記されていた。 そして、次の日の昼休み…。 カラオケ屋の無料券の事を、仲の良い友人達に話した。 「カラオケ?行きたい!」 「茉里、私も~」 笹乃と美波が言った。 「景ちゃんは?」 「そうねぇ。行こうかしら」 景子が呟く。 「じゃあ、俺も良いかな?」 振り返ると、山部が立っていた。 「や、山部くんも!?」 美波が真っ赤になって言った。 「だったら私も行きたい!」 幸恵が叫ぶ。 「ええ?」 人数オーバーに、七基が困った顔をした。 「ああ、俺なら自分で出すから良いよ」 山部が苦笑した。 「それより、彼に改めて昨日の礼をしたいんだけど、今日も花月堂にいるかな?」 「あ、うん。いると思うよ」 七基は頷いた。
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