七基の友人・見えるひと

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カラオケ屋に着いた七基達は、個室に入ると選曲リストを開いた。 各々、好きな曲を選んで、機械に打ち込んでいく。 一時間経った頃、灯色が一曲も歌っていないのに事に、幸恵が気がついた。 「立花くんも歌おうよ」 「最近の歌は知らないので…」 灯色が苦笑する。 「おっさんみたいな事言って逃げようたって駄目よ」 美波が言った。 「いえ…本当に知らないので」 「じゃあ、何なら歌えるの?童謡とか?」 「えっと…お構い無く…」 困ったように苦笑いする。 「そんな無理に歌わせること無いだろ?」 山部が灯色を庇う。 「そっ…そうだよね!?」 「無理強いは駄目よね!」 美波と幸恵が焦ったように言った。 「…惚れた弱味ね」 景子がボソリと呟く。 「俺ら、飲み物でも買ってくるよ」 そう言って、山部は灯色を連れて部屋を出た。 「…ありがとうございます」 「はは。女の子って押しが強いよなー」 自動販売機にお金を入れようとした時、 「立花さん?」 と、店員が灯色を呼んだ。
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