音の怪・前編

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次の日の朝。 七基は友人が待ち合わせの時間になっても来ないので、まだ寝ているのかと思い、彼女の携帯に電話を掛けた。 電話に出たのは彼女の母だった。 其処で信じられない話を聞いた。 友人が意識不明で入院していると。 七基は直ぐに病院に向かった。 病室に入ると、友人が横になっていた。 「何で…」 七基は呟いた。 「茉里ちゃん?」 友人の母親が、七基に駆け寄ってきた。 「…昨日は元気だったじゃない。また明日ねって…言って…」 「茉里ちゃん…。大丈夫よ。先生がね、命に別状は無いって。その内、意識も戻るから、安心していいんですって」 「大丈夫…なんですか?」 母親が頷く。 だから、こんなに落ち着いているんだ。 「なんだ。良かった…」 「ごめんね。おばさんの言い方が悪かったね」 「ううん。そんな事ないです」 一先ず安心した七基は、夕方まで友人の意識が戻るのを待っていた。 「茉里ちゃん。もう遅いから、暗くなる前に帰った方が良いよ」 「あ、はい」 七基は病院を出て、帰路に着いた。
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