七基の友人・見えるひと

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「山部くん、いつの間に灯色くんを名前で呼ぶ仲に?」 七基が尋ねた。 「ついさっき」 山部が笑って言う。 「そうだ!立花くんって、もしかして茉里からクッキー貰った?」 笹乃が思い出して言った。 「さ、笹乃っ!!」 七基が慌てた。 「はい。貰いました」 灯色が素直に答える。 「灯色くん!!」 顔を真っ赤にして、七基が怒鳴った。 「えっと…?」 怒鳴られた灯色は、事情が分からず首を傾げた。 「やっぱりね~」 「茉里にもついに春が来たね」 友人達が七基を茶化す。 「今は梅雨ですよ?」 灯色が言った。 女子一同が、無言で灯色を見る。 「…立花くんって相当鈍いね」 「茉里ちゃん頑張らないと」 友人達が七基に耳打ちする。 「もう!その話題いい加減止めてよ!!」 七基が怒鳴った。 「女の子って恋話が好きだよなぁ」 缶珈琲を飲みながら、山部がポツリと呟いた。 灯色が廊下の方を振り返った。 「どうした?」 威圧するようにドアの向こうを見つめる灯色に、山部が問掛けた。 「灯色くん?どうしたの?」 七基達も気づいて、灯色に声をかける。
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