七基の友人・見えるひと

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小窓から見える廊下を見て、景子が首を傾げた。 「いえ、何でもないです」 灯色は皆の方に向き直して微笑んだ。 「ふぅん?そろそろ歌おっか。立花くん一番ね!」 「…僕ですか?」 「カラオケ来たからには歌わないと!この際、童謡でも構わないから」 「て言うか、皆で童謡歌っちゃう?」 「それいいね!さすが笹乃」 「えっへん」 「ドレミの歌がいい!立花くんも知ってるでしょ?」 「それなら知ってます」 機械に番号を入れると、直ぐに曲が流れ始めた。 表示された英語の歌詞を見て、英語が苦手な美波が後退る。 結局、全部歌い切ったのは、山部と景子と灯色の三人だった。 「楽勝…」 景子が余裕の表情で呟いた。 「灯色って、学校行ってないのに英語が分かるんだな」 「あ、いえ。知り合いが歌ってたのを、そのまま覚えただけで…。でも、もともと英語で歌われてるものなんでしょう?」 「日本人は日本語版を歌うけどな」 山部が言った。 その後も、友人達を中心に盛り上がって、時間はあっと言う間に過ぎていった。 「山部くん、またね~!」 カラオケ屋を出ると、電車通学の美波と幸恵が、一番に抜けた。
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