七基の友人・見えるひと

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「それじゃ、また明日!」 その次に笹乃と七基が抜ける。 「立花くんは幽霊が見えているの?」 景子が呟いた。 「え?」 「カラオケ屋で、廊下の方を見ていたでしょう」 「あ、あれは…」 灯色が苦笑した。 「廊下に血まみれの女が立っていたの…見えてたんじゃないの?」 灯色が景子を振り返った。 「…言いたくないなら、構わないわ。でも知っておいて。私は見えるの」 景子が言った。 「彼女、貴方が振り返った後に、逃げるように消えていったの。偶然かもしれないけれど…ありがとう」 景子は微笑んだ。 白い高級車が道に停まっていて、出てきた身なりの良い壮年の男が、景子に向かって一礼した。 「それじゃあ、私はこれで」 景子は灯色と山部に向かって、小さく会釈をすると、車に乗り込んで去っていった。 「…やっぱり何かいたのか?」 「地縛霊が…結構、何処にでもいるんですけどね」 「何処にでもいるのかよ。放っておいて大丈夫なのか?」 「…気に当てらる人もいますけどね。片っ端から浄霊したら、僕が持ちません。それに、霊感の無い人から見たら、僕が不審者ですよ」 灯色が呟く。
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