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梅雨が終わる頃、教室で七基が不機嫌そうな、投げ遣りな気分で机に伏せていた。
「茉里…もうちょっと、やる気出そうよ」
笹乃が呆れるように言った。
「無理よぉー」
七基は不満たっぷりに呟いた。
「何で、学校で肝試しなんかするのよぉ」
夏休み前に、クラスの企画で、肝試しをする事になっつしまったのだ。
「茉里って幽霊信じてないんじゃなかったの?」
笹乃が呟く。
「そ、それとこれとは話が違うでしょ!夜の如何にも出そうな不気味な学校で、肝試しなんかして、怖くない女の子がいると思う!?」
しかも何度か本物に遭遇して、死にそうになった経験もある。
幽霊なんていないと思って行くならまだしも、実際に幽霊がいると知っていて行くのとは、全然怖さが違うのだ。
「…心配ないよ。七基さん。皆も行くんだし」
山部が言った。
「男女四人で回るのよ。一人で行くわけじゃないんだから大丈夫」
美波が慰めるように言う。
「そうかなぁ…?」
七基は半泣き状態で呟いた。
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