無限回廊

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金属同士が打つかり合う嫌な音がした。 倉庫の引戸がへしゃげ、鎌が突き刺さっている。 「あら…戸を切り裂くのは、無理だったみたいね。残念だわ…」 引戸を切り裂いて貰い、あわよくば、そのまま脱出してしまおう…と踏んでいた景子は、ため息混じりに呟いた。 怪人は戸から鎌を抜き、景子の方を振り返る。 景子は無表情で、怪人を見ていた。 「…私、少し可笑しいかしら。貴方を怖いと思わないの。ごめんなさいね…」 寧ろ、絶体絶命の状況なのに、落ち着いている自分の方が怖い。 パタパタと足音が聞こえた。 「景ちゃん!大変なの!」 七基の声がして、景子は漸く狼狽えた。 「来ては駄目よ!」 そう叫んだ直後、倉庫の引戸が勢い良く開き、遮断されていた空間が繋がった。 怪人は倉庫から体育館に移動する。 「…しくじったわ」 景子が呟く。 「え!?何…体育館の怪人!?」 「景ちゃん!」 「大丈夫よ…。それより、怖いと思っては駄目よ。これは多分、夢だわ」 「夢?」 七基が驚いた。 自分達もそんな話はしたけど、あれは冗談で言っただけで、本気で夢だとは思ってなかった。
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