無限回廊

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『私の頃は悪魔が映る大鏡だったの。後は…家庭科室の合わせ鏡くらいかな。悪魔が出てくるのは』 「鏡ばかりですね」 『そうね…確かに。あんまり気にしてなかったけど、言われてみれば…鏡の怪談話って多いかも』 利栄は何でだろう?と首を傾げた。 「鏡は力を溜めやすいものですから。霊界が映るとも言います」 「そうなんだ…詳しいね」 灯色は札を取り出して、 「梅桃の織」 ふわりと桃色の絹布が現れる。 「じゃあ、ちょっと見てきますね」 それを頭から被って、鏡に向かって突っ込んだ。 『ちょっ!危ないよ!?』 鏡に当たるが、鏡が水の様に波打ち、灯色は鏡の中に入ってしまった。 『え…えぇえええええっ!?』 利栄が慌てて鏡に触れるが、何の変哲もない鏡だった。 『嘘…どうやって?というか、鏡に入っちゃうなんて、あの子は一体何者なの!?』 残された利栄は、呆然として呟いた。
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