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「よし、買い物行って来るか。」
勇人がそんな事を呟いてるとは露知らず、総太が立ち上がる。
「あ、番組終わったの?」
「あぁ、来週に続くパターンだ。」
「典型的、というかなんと言うか。」
二人はそんな会話を交えながら総太を呼ぶ母親の所へと移動する。
「母さん、買い物って何さ?」
「夕飯の材料がね、ちょっと買い忘れてたものがあって。はい、これ財布とメモ。」
「お釣りはとっとく…」
「多分、ピッタリだと思うから。」
「ちぇっ。」
「宜しく頼んだわよー。」
総太の後を追うようにして勇人も玄関へと来る。
「あ、何だお前一緒に行ってくれるのか?」
「いや、違うよ。はい、総太にぃ。」
勇人は総太の言葉を即否定し、ポケットから硬貨を取りだし総太に渡す。
「ん?何だ?くれるのか?」
「シャーペンの芯が切れたから、ついでに買ってきて。」
「おま!!…お釣りは貰うからな。」
「商品レシート付きで返さないと、総太にぃの大好きなヒーロー番組を録画したテープの上に、更に録画しちゃうから。」
「…行って来ます。」
「行ってらっしゃーい。」
総太は勇人の脅しに一瞬で屈し、ドアを開け外に出ていく。
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