第0話 「路地裏の異世界」

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「よし、買い物行って来るか。」 勇人がそんな事を呟いてるとは露知らず、総太が立ち上がる。 「あ、番組終わったの?」 「あぁ、来週に続くパターンだ。」 「典型的、というかなんと言うか。」 二人はそんな会話を交えながら総太を呼ぶ母親の所へと移動する。 「母さん、買い物って何さ?」 「夕飯の材料がね、ちょっと買い忘れてたものがあって。はい、これ財布とメモ。」 「お釣りはとっとく…」 「多分、ピッタリだと思うから。」 「ちぇっ。」 「宜しく頼んだわよー。」 総太の後を追うようにして勇人も玄関へと来る。 「あ、何だお前一緒に行ってくれるのか?」 「いや、違うよ。はい、総太にぃ。」 勇人は総太の言葉を即否定し、ポケットから硬貨を取りだし総太に渡す。 「ん?何だ?くれるのか?」 「シャーペンの芯が切れたから、ついでに買ってきて。」 「おま!!…お釣りは貰うからな。」 「商品レシート付きで返さないと、総太にぃの大好きなヒーロー番組を録画したテープの上に、更に録画しちゃうから。」 「…行って来ます。」 「行ってらっしゃーい。」 総太は勇人の脅しに一瞬で屈し、ドアを開け外に出ていく。
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