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「ねぇ俊樹、五ヶ月記念日にさ、ちょっと友達……なんでもない」
「なんだよ気になるじゃんか」
「出会う前に戻らない?」
「……」
それは別れるということ。何度か話した別れた場合。別れるとしたら。遠距離恋愛、近距離でもうまくいかないものが遠距離で行われている。決して簡単なことではない。だからそれはお互いの意識をたまに揺さぶる。
絶対に嫌だ。
けれど彼女の幸せを考えるなら別れるほうがいいだろう。
幸せにしてやる。
そんなこと簡単に言えない。
長い沈黙を破ったのは美咲だった。
「みさ達の恋ってさ、誰にも祝福されないよ?
出会い方もそうだし、みさ達逢えないよね」
「いいじゃん!
誰にも祝福されなくたって、世界が敵でも俺はみさと一緒ならそれでいい。
難しいけど声優の夢だって叶える。
逢えるよ!
日本の最北端と最南端じゃないんだから」
俺はそんなアニメかドラマじみた台詞しか言えなかった。
「お金もったいないよ。
友達になって少し考えさせて?
ね?」
そんな悲しい声でお願いされたら断れないじゃんか……。
こんなに大好きな人にお願いされたら、黙って頷くしかないじゃんかよ。
「…………うん、わかった」
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