13人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし……?」
電話から聞こえるのはいつもの小さな可愛らしい声。今日はそれがいつも以上に小さく感じられた。
「あのさ……みさのことどう思う?
友達にしか思えない?」
友達の声や車の音でよく聞こえなかったことだけ覚えている。
「え?
友達だよ?」
「ぐすん。
みさね、俊樹のこと好き。
けど友達にしか思えないよね」
「え?
何?」
泣いていた。うるさい中はっきりとしない言葉は告白なんだと理解できた。
「だからぁ……好き。
何回も言わせないで」
「俺も好きだよ?」
(いい友達だし。
こんな可愛い娘が俺に告白はありえないよな)
微かに聞き取れた美咲の声。この時初めて"好き"という単語を聞き取れた。
「うん……ねぇ。
俊樹にはみさなんか釣り合わないし、叶わないってわかるから、みさとは付き合えないって言って?
みさは友達としか思えないって言って?」
何を言っているのだろうか。告白しながら自分からフラれたいらしい。そんな馬鹿な話があるもんか。
けれどうまく聞き取れないから仕方ないのでその通りにした。
「みさは友達だよ」
「…………うん」
最初のコメントを投稿しよう!