出会い

5/6
前へ
/16ページ
次へ
「もしもし……?」 電話から聞こえるのはいつもの小さな可愛らしい声。今日はそれがいつも以上に小さく感じられた。 「あのさ……みさのことどう思う? 友達にしか思えない?」 友達の声や車の音でよく聞こえなかったことだけ覚えている。 「え? 友達だよ?」 「ぐすん。 みさね、俊樹のこと好き。 けど友達にしか思えないよね」 「え? 何?」 泣いていた。うるさい中はっきりとしない言葉は告白なんだと理解できた。 「だからぁ……好き。 何回も言わせないで」 「俺も好きだよ?」 (いい友達だし。 こんな可愛い娘が俺に告白はありえないよな) 微かに聞き取れた美咲の声。この時初めて"好き"という単語を聞き取れた。 「うん……ねぇ。 俊樹にはみさなんか釣り合わないし、叶わないってわかるから、みさとは付き合えないって言って? みさは友達としか思えないって言って?」 何を言っているのだろうか。告白しながら自分からフラれたいらしい。そんな馬鹿な話があるもんか。 けれどうまく聞き取れないから仕方ないのでその通りにした。 「みさは友達だよ」 「…………うん」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加