第一章 死の淵

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急にどこからか電子音的なメロディーが流れてきた。   「……………」 「……………」 「ローレル」 「……何だよ」 「携帯がなってますわよ?」 「…んな事はわかってんだよ」 「ではなぜ出ないのです?」 「この状態で出れるか!!」   そんな状況での二人の漫才でもやってるかの会話。 その間に音は鳴り止んでしまう。   「仕方ないですわね」   と何を思ったかフィンはローレルの体をペタペタと触りだした。   「ちょ!?…お、おい!!や、やめろ!!!くすぐったい!!お姫サマ落ちてしまうだろ!!」 「あなたの携帯を探してるんですわ。我慢なさい」 「できるか!!…け、携帯は腰のベルトポーチの中だ!!」   ローレルがそう叫ぶとフィンの手がピタッと止まった。 そして彼を見上げ……   「最初に言ってください」   と少々ムクれ気味でそう言った。   「つ~か……先に聞いてくれ」   ローレルの呟きが耳に届いているのか否か定かではないがメロディーの正体は携帯だった。 そして着信を見てみると   「ユーノスからですわ」   彼らが待つ男からでよく見てみると何度か着信が入っていた。 どうやら戦闘の最中に携帯が鳴っていたらしい。   「何度も着信があったみたいですわ」 「…マジかよ。またオレはあいつから嫌味を聞かされなきゃいけないのか?」 「大変ですわね」 「他人事みたいに言うな。連隊責任だろ?」  
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