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前半の授業も終わり、昼休みになると生徒たちは学食に行ったり、売店に行ったり、お弁当を持ち寄ったりと各々の好きなように昼食をとり始めた。
リツも昼食をとるために席を立つ。
すると、誰かにぶつかった。
「……っ?!」
何か柔らかい感触が顔面に…。
「うぐっ?!」
恐る恐る上を見上げると、しらっと見下ろす生徒。
目の前にはその生徒の胸があり、驚きの余りにリツは変な声を上げる。
「だ、大丈夫か、い?」
ライの哀れみを含んだ声が背後から聞こえる。
「も、問題ない!!…いや、あ、その、ごめん!!」
リツは顔を赤くしながら慌てて教室を出ていく。
ライが何か言っていたような気がしたが、廊下を走っていく。
別にワザとじゃない。あれは事故だと、心で言ってはみるものの、何故か辱めを受けたような感じで、悔しさがわいてくる。
(とんだ失態だ…。初日にあんな…、公衆の面前で!!)
リツは気づけば屋上に来ていた。
屋上は誰も居なくとても静かだった。
「……あの場は、逃げなくても良かったんじゃないの?」
体育座りで俯いていると声が聞こえる。
振り向くと黒髪でどこか大人びた雰囲気の少女が黒いドレスに身を包み、リツを見下ろしている。
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