幸福
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男は、夜の町をふらついていた。 千鳥足には違いなかったが、酔ってはいなかった。 だが気分は最悪だ。 くたびれたスーツに気を遣うでもなく、周囲の様子も欝陶しいと思うほど今の男は荒れていた。 男は、鈴木孝雄という。 地方の生まれで、大学に進学して上京、そして就職してもう20年は過ぎていた。 壮年というよりは中年と笑われてもしかたない体型に、真面目そうな姿は典型的なサラリーマンと言えるだろう。
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