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こんなに泣いたのは初めてかもしれない。
大地に浮気されて、ひどいことを言われて、それが悲しくて泣いた訳じゃなくて。
彼の行動が、あたしを救ってくれた。
ちょっと大袈裟かもしれないけど、ただ、うれしかったんだ。
「あ、ここでいいです。うち、あの角まがってすぐだから。」
家まであと数十メートルというところで、夢芽は彼に言った。
「そか。じゃ、また明日な。」
「はい。ありがとうございました。」
軽く頭をさげると、彼は夢芽に背を向けて来た道を引き返していった。
それを確認して、夢芽も家の方へ歩き出した。
そのとき、
「夢芽」
突然うしろから声がして、夢芽は振り返る。
「…って、呼んでもええ?」
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