古事記の間。

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さて、コノハナノサクヤビメとイワナガヒメの父・オオヤマツミには「ワタシノオオカミ」という別名があり「和多志大神」と書きます。 「和多」とは古語で「海」を表しているらしく、「この神、百済の国より渡り来まして、津の国の御嶋に坐しき」という記述があり、航海民の神でもあったようです。 もしくは、朝鮮からの帰化人だったのかもしれないですね~。 そして、娘であるコノハナノサクヤビメも海を司る神であったようで、笠沙の岬がある野間半島(鹿児島県)に野間神社があり、コノハナノサクヤビメが奉られており、コノハナノサクヤビメと供に娘ま(のうま)という女神が奉られているらしいです。 この「娘ま」という女神は、中国の福建省や広東省などの沿岸部で信仰されているらしく、王朝時代の琉球に伝わり、長崎・茨城・青森などで、海神として奉られており「娘まが日本に帰化した際にコノハナノサクヤビメに結び付けられたのではないか?」と書かれていました。 さて、ニニギと結婚し、一夜の契り(セックス)を交わしたコノハナノサクヤビメですが、しばらくしてニニギの元に現れ「わたしは、あなたの子を身籠もり今が生み月にあたります。天つ神の御子を生むわけですから、黙って生む事はできません。わたしはどうしたら良いでしょう?」とニニギに問い掛けます。 これに対しニニギは驚き(正確には驚いたふりでしょう)「一夜のみの契りで子を身籠もるとは信じ難い。その子は我が子ではなく国つ神の子ではないのか?」と返答をします。 この返答を聞いたコノハナノサクヤビメは「もし身籠もった子があなたの子でないならば無事に生まれないでしょう。しかし、あなたの子であるならば無事生まれるはずです」と言い、コノハナノサクヤビメは産屋に籠り、戸を塗り固め、産屋に火を放ち、炎の中で三人の子を無事出産しました。 とまぁ、コノハナノサクヤビメの出産について書きましたが、これまた凄い話ですよね~。 ニニギは自分の子を身籠もり、しかも出産間近であるコノハナノサクヤビメに対し「俺の子じゃないだろ?」と言ったわけですが、かなり無神経な発言に受け取れますよね? まぁ、たしかに一度セックスをしただけで子ができるというのは疑いたくもなりますが、別の見方をすると、運命的でもあり「できるべくしてできた」という捉え方もできます。
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