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流依は拳銃を頭のこめかみに当てて引き金を引く瞬間の事だった……
百合子の顔をその哀しみの瞳で見つめた。
哀しい表情で……
流依の唇が動き、百合子へ最後の言葉を言った。
「百合子、ごめん……酷い事をして……でも、百合子、僕は君を愛しているよ……永遠に……」
彼は、そう言ってから、
たった一発の拳銃の弾で自分を仕留めるように即死する場所を狙い撃った。
乾いた銃声が鳴り響き。
その場にいた刑事達や警官達の悲鳴のような止める声冴え掻き消されて。
流依の耳には、誰の声も聴こえなかった。
ただ1人の声だけが届いていた……それは……百合子の声だった……
弾丸が頭を貫いて行く一瞬に流依が見ていたのは。
夏樹だった……
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