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そうして彼について行き、見たこともない通路を通ってたどり着いたのは、古びた教室だった。
お化けでも出そうな雰囲気。
(はひぃぃ…っ!)
僕はこういうのははっきりいって苦手だ。
胸に抱える教科書をまた抱きしめた。
だけど彼は怖がるどころか、興味もなさそうに歩き進んでいく。
一人でいるのは嫌で、結局僕は彼についていく事にした。
そして彼は、適当なのかある教室の前でふと、立ち止まった。
古びたドアを開け、中へと入る。思ったよりも綺麗な教室。
(…こんなとこ、あったんだぁ)感心…―。
も、つかの間。
彼はごろりと寝転がってしまう。「へっ?え、ちょっと!」
一人で黙っているなんて心細くて仕方がない。
僕は彼をゆさゆさと揺する。
すると彼は目を擦りながら微かにしゃべった。
「………なに?」
「なに?じゃなくてですね!」
僕が必死に説明しようとしているのが分かっているのか、分かっていないのか。
いや、それ以前に聞いているのかも曖昧な反応ばかりしてみせる。
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