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「紅子、いいなぁ……
矢吹先生の練習ビオレッタなんでしょ?
羨ましいわ」
親友の〔下垣明日香〕がアタシに擦り寄って甘ったるい声でアタシを見る。
「変わる?
符読みだけでも地獄だから!
遠分、アタシの彼氏はこのぶっといスコアだよ」
明日香を見て溜め息を付いた。
「それは勘弁かな……?
ガンバレ!」
明日香は苦笑いしながらアタシの肩を叩いた。
「ねぇ、この後なんかある? 」
アタシはこのコトバにハッとした。
「ヤバイっ
今日、真澄さんの誕生日!
父さんが帰るまでに帰らなきゃ、また嫌味攻撃だわ」
アタシは慌てて荷作りをした。
「紅子も大変だね
ガンバレ!」
人事のように言う明日香のお尻にちょっとした蹴りを入れてアタシは練習会場を後にした。
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