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ベタベタな甘甘
この話の主人公は三木光、20になったばかりのOLである。仕事にも慣れ、充実した日々を過ごしていたのだが、現在窮地に立たされていた。
満員電車の人混みの中で小さくなっている彼女の腰に、手が掛かった。
つまりは痴漢。
声も出せずに固まっていると、手は下方へ下がり始める。
「おい。」
涙目になっている光の腰から手が離れたのと、低い声が聞こえたのは同時だった。
「何してんだよ、アンタ。」
恐る恐る、光が振り返ると中年で少し禿げた真面目そうな男と、学生服に茶髪の青年が睨み合っていた。
正確には睨んでいるのは青年で、中年の方は目付きが悪いだけで顔は恐怖とか驚愕とかそんな感じに震えていた。
「な、何だ?!君はいきなり…」
「聞いてんのはこっちだっつの。オッサン今何してたよ?」
どうやら痴漢から光を救った救世主は青年のようだ。
ただ、その救世主は光の苦手な不良高校生らしい。茶色い頭と、第一ボタンが空いていてチェーンが見える。
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