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初恋は実らないもの。とよく聞くものだけれど、あれが恋だと言っていいのか分からないくらい子供だった頃、僕には好きな子がいた。
もちろん、よく聞く通りの片思いで終わったわけだけど……。
あれは小学校一年の時だった。
その子はクラスの中で一番可愛い子だった。
彼女を初めて見たのは小学校の入学式の時。
はっきり言って、一目惚れだった。
それから一年間、嬉しくもその子とは同じクラスとなり、クラスメイトとして過ごす事になった。
でも取り分け仲がよかったわけでもなく、だからといって悪いとも言えない、ただごく普通のクラスメイト。
結局そのまま一年間が過ぎていった。
そして当時から恥ずかしがり屋だった僕は最後の最後まで「好きだ」と言う事が出来なかった……。
彼女が転校していく、その日まで。
時間が経つにつれ、そんな小さな頃の淡い恋心もいつしか忘れ、それがただ単なる思い出として頭の片隅に片付けられていった。
それから八年が過ぎた……。
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