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見なければ良かった。
それは……首から左足を生やして……体を引きずりながら進む「人間らしき物」だった。
両腕は常にピクピク痙攣していて、服は着ておらず、その湿った白い肌は、雪明かりのように光っている。
そのありえない、おぞましい形容に俺の胃は縮こまり、軽い吐き気を催した。
俺が後ろを向いて立ち去ろうとすると…………
コ、ウ、カ、ン、コ、ウ、カ、ン、コ、ウ、カ、ン、
しわがれた老婆と老人のような低い声と、ヘリウムガスを吸ったような高い声が混ざった不協和音で、そんな言葉が聞こえて来た。
俺は走り出した。
後ろは振り向いてはいけない。
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