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とにかく走った。
家まで……とにかく。
俺は息を切らしてアパートの前に立った。
あとは階段を登って鍵を開け、アイスを冷凍庫に入れるだけ……。
階段を登ろうと俺は歩を進め……
ドサッ
俺の視界からは死角で見えないが……階段を登った所……丁度俺の部屋の前あたり。
何かが……いや、「あれ」が降って来た音がした。
さっきまで後ろにいたはず……
なんで……
どうする……?
こんな夜に出歩いている人間なんて、そうそういないだろう。
そうだ!
声を出して助けを……!
…………!!
声が……出ない……?!
喉に何かが詰まっているような感覚だ。
ペタッ、ズルズル、ペタッ、ズルズル
あれが近づいて来る……!!
もうあんなもの見たくない……
コンビニへ助けを求めに行こう……!
ああ……恐怖は人間の呼吸をここまで遮るものなのか。
俺は過呼吸で立ち止まってしまった。
角の前で………。
ダメだ!
此処で止まってはいけない!
また……また……!
コ、ウ、カ、ン、コ、ウ、カ、ン、コ、ウ、カ、ン
ドサッ
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