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「…だいぶ夜風が冷えてきましたな。そろそろ中に入られては…?」
風邪をひくことなどないのだろうが、それでも何故か心配になってしまう。
「ん。もう少ししたら戻る。お前はもう休んでいいぞ」
「ならば、なにか羽織るものをお持ちしましょう」
主に背を向け、上着を取りに戻るべく小十郎はベランダを後にした。
部屋の端に設えられたウォークインクローゼットの扉を開け、整理され積み上げられた箱の中から大きめのストールを1枚取り出す。
…薄手の上着の方がいいだろうか?
とりあえず両方持って行くか…と、淡いブルーのカーディガンに手をかけたその時。
カシャン
何かが割れる音がした。
政宗がひとり残るベランダの方から―
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